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相互リンク記念ということで、呟くところで「Chat Noir」のたままはなま様に「僚艦セバスチャンと生徒坊ちゃんのお話」をリクエストさせていただきました。

結構前に書き上げてくださっていたのですが、スマフォで作業すると所々単語や文が抜けていたりなど、アップできない状況になり、パソコンで作業をしようとすればショートしていて…。

アップ遅くなりました。
たままはなま様、これからもよろしくお願いします。

では、どうぞ行ってらっしゃいませ。




After the Night Tea



夕食が済んだ後、頃合いをみて部屋を抜け 出す。
課題の為の教科書とノート、筆記具を手に 持って。
廊下ですれ違う生徒達は、 僕がほぼ毎夜、寮監の部屋に行って勉強を 教えてもらっていると知っていて、声を掛 ける。

「ファントムハイヴ君、毎日よく頑張って いるね。」

僕は、はにかんだ笑顔で返すのだ。

「僕、途中から入学したものですから頑張 らないといけないんです。」

何人もと擦れ違う度に、いちいち答えない とならないのが面倒なのだが、 この遣り取りをしておかないと、色々と勘 繰られるようでは困るので仕方がないの だ。
学校生活というのは本当に鬱陶しい事ばか りだと思う。
特に、ここはカトリック系の全寮制学校な ので朝のミサだの食前の祈りだのがある。 悪魔と契約している僕が神に祈るなどと は、まったくバカバカしい事この上ない。
しかし、もっとバカバカしいのは、僕が契 約しているその悪魔が、 首からロザリオまで掛けて牧師の恰好をし ていることだろう。 神から対極にあり、神と相いれる事などあ りもしないのに。
ヤツのそんな姿を見る度に、僕は笑い出し たくなってしまうのだった。 学校の教師であり寮監として潜入しているとはいえ、下らない冗談にしか見えない。
そういう僕も、優等生然として振る舞い、 一日のうちに何度となく笑顔を振り撒く様 は、自分でもうんざりするし、 普段の一年分くらいの愛想を一日に使い 切っている気がする。
もういい加減、顔の筋肉がどうにかなりそうだ。 寮監室に向かう本来の目的が、その日の調査報告の為であったとしても、 普段の顔で過ごせる夜が待ち遠しかった。



デリック・アーデンに関する手がかりは全 く掴めないままに日々が過ぎ、 決定的な情報を得ようとするなら、 校長が主催する夜のお茶会に招待される以 外にないらしいという判断に至った。
普通には無理な事であっても、クリケット 大会で校長の眼鏡に適えば、 その招待を受けられる事が分かったのである。
しかし、如何せん、各寮から11人しか選出されない選手に選ばれるだけでも難しい。
僕は運動というものを概ね苦手とし、今で こそ幾らかダンスを踊るようになったが 始めてヤツに手ほどきを受けた時には“壊滅 的”とまで言わしめた運動音痴なのだった。
どうすれば選手に選ばれる事が出来るだろ うかと考えていたところ、 僕が寮弟をしている上級生のクレイトンか ら呼び出され、 “ミカエリス先生”のたっての推薦という事 で、 今度のクリケット大会の選手に選ばれたこ とを告げられたのだ。

褒めてやりたくなどないが、最高のサポー トだった。

礼を言うように言われた手前、人目のある ところであったし、 一年生らしい無邪気さを装ってヤツの元に 駆け寄り、わざわざ飛びついて喜びを示し た。
勝敗、個人の成績、紳士らしいプレイ、そ のどれを基準にするかは校長の気分次第。
しかし、点を獲り、寮の優勝に貢献し、お 涙頂戴すれば完璧だろう。
どんな手を使っても“真夜中のお茶会”に招 待されるべく、 僕達は動き出す事となったのである。



頭脳戦に関する計画を練り、その後クリ ケットの実戦の練習をする為、 この夜からは、僕が“ミカエリス先生”の部 屋を訪れるのは、 他の生徒が来なくなる最も遅い時間にする 事になった。
途中で邪魔が入っては秘密裡の行動が元も 子もなくなってしまうからだ。
スイーツと紅茶を口にしながら作戦を立 て、 練習が終わった後、疲労と昂ぶった神経を 鎮める為のナイト・ティーを飲む。
今夜は初めての練習で疲れているので、甘 いフルーツティーだった。
香りだけでも癒されていくようだ。

「坊っちゃん、今日はお疲れ様でした。 明日からもしっかりと練習なさって下さい ね。」

にっこりと口角を上げるヤツは、スパルタ 式で僕をしごけるのを楽しんでいるのだ。

「ああ、やるからには徹底的にやってや る。 絶対に校長の“夜のお茶会”に招待されなけ れば意味が無いからな。」

これだけの時間と労力を使っているのだ、 必ず招待させてやる。
どのくらい投げさせられたか分からない程 に球を投げ、投球練習で痛む肩をさすっ た。

「肩が痛みますか?」

ヤツが僕の隣まで来て肩に手を置く。
労わる様にというより、手のひらから熱を 移す様に撫でる。
そういえば、学校に潜入してからは、 調査報告が済む頃には、何時も勉強をみて もらいに他の生徒が来るので、 こんな風にヤツと長い時間を共に出来るの は初めてだった。
僕はくすりと笑った。

「飢えているのか?」

腰を屈めているヤツの唇を指先で辿る。 それをちろりと舐められた。

「私は何時でも飢えていますよ。」

ヤツの言葉には二つの意味が含まれてい る。

僕との契約が終了するまでは、食事として の魂を食べずにいる事による空腹。
もう一つは、享楽を享受したいという意味 での飢え。

「正直な奴だな。」

既に僕のネクタイは解かれ、シャツのボタ ンは外され始めていた。

「私は嘘を吐きませんし、誤魔化す事もご ざいません。」

ニヤリとヤツが笑む。
首筋を舐め上げられ、微かに声が漏れる。

「いいお声です。そそられますね。」

僕はそのまま抱き上げられ、ベッドへと運 ばれて行った。
本邸の僕のベッドと違うスプリングが、ギ シギシと安い音を立てる。
シーツの肌触りは、それでもそう悪くはな い。寮監の部屋といっても、流石は一流の家の 子供を預かる所だけの事はあるのだなと 思った。
ただ、声は抑えないといけない。 ここの壁は屋敷の様には厚くはないのだ。

「坊っちゃんのお声を聞けないのは物足り ませんね。」

胸元にキスを落としつつ、ヤツが小声で言 う。

万一、何かの着替えの時に見られて困らな い為に、 何処にも痕を残す事が出来ないのも気に入 らない様子だった。
ゆらゆらと僕の体を揺らす度、ヤツの首か ら下がったロザリオも揺れる。
背徳的などという事には頓着しない僕だ が、 ロザリオの振れ幅が小さくなったり大きく なったりするのを不思議な気持ちで見てい た。
高まっていく感覚の後に、一際大きく揺れ るロザリオ。
僕の世界は、いつもとは少しだけ違う色に 弾けた気がした。

END

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たままはなま様へ相互お礼小説

黒執事二期OVA [MAKING OF KUROSHITSUJI]のパロディです。
お話は9話撮影中。
微妙にクロアロ要素ありです。




『シエルはハンナによって、連続猟奇事件の犯人に仕立て上げられる。
そして、精神を病んでいるとして特別治療(薬液に浸けられる)にかけられ、クロードによってアロイスとシエルの2人の記憶を混ぜらてしまう。
復讐相手をセバスチャンだと勘違いしたシエルはセバスチャンに
「僕の前から姿を消せ!」と命令する』

「……坊ちゃん、大丈夫でしょうか」


この特別治療と称した拷問のシーンでは、スタントは使えなかったはずだが…。

台本を読みながら、セバスチャンはため息をつく。
視線は意識せずとも幼い恋人へ向いてしまう。

しかし、その恋人と目が合うこともなく、おまけにあからさまに背を向けられている。

いつもは凛としている背中も、心なしか元気がない。


(…もしかしなくても、一昨日のことが原因ですよね)


一昨日、二人は些細なことから喧嘩をしてしまった。

売り言葉に買い言葉、普段の嫌みな言い合いがエスカレートしてしまい、結局シエルは家を出てしまったのだ。

向かった先は案の定クロードとアロイスの家だったので心配はしていないが、昨日は二人とも撮影が別で、シエルは帰ってこなかったため話をすることもなかった。

どうも、シエルが絡むと冷静になることが出来ない…。


「セバスチャン!」


掛けられた声はアロイスのもの。
クロードの視線が突き刺さってはいるが、あえて無視しておく。


「何でしょうか、アロイスさん」
「うわ、わかってる癖によく言うよね~」
ホント、クソ性格悪いよ。


(…貴方も十分性格悪いですよ)

憎々しげにつぶやかれた言葉にも聞こえないフリ。


「でさ、いい加減シエルと仲直りしてくれない?」
「坊ちゃんは?」
「俺らの前ではいつも通りにしてるつもりなんだろうけど、あんなのシエルじゃないよ。ホント、シエルはセバスチャンがいないとダメダメなんだよね~」


それが聞こえていたのだろう。
シエルはチラリとこちらを見る。


(まあ、私もそろそろ限界ですしね…)


今まで、メールも電話もしていないのだ。

「わかりました。坊ちゃんがお世話になりました」
「わかればいいんだよ!」


そう言ってシエルの所へ駆けていくアロイス。
シエルと目が合うと、寂しそうに下を向いてしまう。
不安にさせているだろう、と思うとセバスチャンは申し訳なくなった。


セバスチャンが謝るタイミングを見計らっているうちに撮影はスタート。


『こんなに濡れて…意識を混濁させるため、薬液にでも浸けましたか?』
『……答えるべきでしょうか、旦那様』
『その必要はない』


クロードがシエルに何かを囁く。
これは仕事であることもわかっているのに、あんなにシエルに近づいているクロードにセバスチャンは嫉妬してしまう。


『ああ、わかっている』


その目にはうっすらと涙の膜が張っている。
しかし、表情には変化が無い。


『僕の前から…』


(姿を消せ、ですね。喧嘩をしたときも言われましたね…。演技とはいえ、もう一度言われるのはキツいです)


仕事が終わったら、タイミングなど関係なしに謝ろうと決め、セバスチャンは視線をシエルに戻す。


(…!?)


シエルの目からは、ポロポロと涙が…。


「…カットォ!」
「どうした、ファントムハイブ?大丈夫か?」


リチャードとエドワードがシエルに問いかける。
セバスチャンも慌ててシエルに駆け寄った。


「坊ちゃん、大丈…「触るな!」」


セバスチャンが声をかけると、シエルは大きく肩を震わせセバスチャンの手を払った。


「坊ちゃん?」
「すまない、少しだけ撮影を抜けさせてもらっても…」
「ああ、構わないが…おい、ファントムハイブ!」


エドワードが頷くと同時にシエルは部屋をを飛び出していった。
濡れたままでは風邪を引くというのに…。


「私が行ってきます」
「セバスチャン、タオルだ」
「…クロードさん、ありがとうございます」


クロードからタオルを受け取り、シエルを追って走り出した。

シエルのことだから、きっと撮影で使わない人気の無い所にいるだろうとあたりを付けて探していく。

大分奥まで進んだところで、すすり泣く声が聞こえてきた。


「…坊ちゃん?」
「! セバ…っ」


廊下の突き当たりで彫刻に隠れてうずくまるシエルにタオルをかけ、そのまま抱きしめる。


「坊ちゃん、申し訳ありませんでした」
「…いや、僕も悪かった。だから」
「いいえ、シエル。連絡もせず、申し訳ありませんでした」


さらに力を込めて抱きしめる。
すると、セバスチャンの腕の中でシエルが小さくつぶやく。

「…シエル、聞こえませんでした。もう一度「この馬鹿!何で僕が出て行ったのに何も言わないんだ!なぜ止めようとしない!」

「僕がいなくてもいいのかと思…っ」


最後まで言う前に唇を塞ぐ。

二日分、たっぷり味わってから唇を離す。
腫れた瞼にキスを落とす。


「…いなくてもいいだなんて、そんな訳ないでしょう?貴方は私の大切な人なんですから」
「ん…僕も、悪かった。思ってもいないことも言ってしまったし、その…すまない」


「僕の前から姿を消せ」と言ったことを気にしているのだろう。


「大丈夫ですよ、シエル。どんなことがあっても、貴方の前から姿を消したりしませんから」
「…絶対だぞ?」


「ええ。私は嘘はつきません」


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