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坊ちゃんと身体を繋ぐようになってから半年。
やめなければ、離れなければと思うのに、ここまでズルズルと続けてきてしまっている。

身を清めた坊ちゃんはいつものようにすぐ眠ってしまう。
私もいつもならすぐ自室へと下がるのだが、最中に様子がおかしかった坊ちゃんが気にかかり、部屋にとどまった。


最中でさえ泣くことがない坊ちゃんの涙。

『…ふ、っ、あはははははっ!』

アレは何だったのだろうか。
サーカスの時と同じだ。底にナニかを隠している、悲痛な声。


『お前が好きだ、セバスチャン』


すべてのきっかけとも言えるこの言葉。

驚きはしたが、そこでようやく自分が抱いてきた感情の正体に気づくことができたのだ。


魂の執着以外の、この感情を。


━━━そして、怖くなった。

貴方が離れていくことが。
貴方をいつかこの手で殺すことが。
貴方に関する、何もかもが。


『では、私と“このような事”をしてもいいというのですね、貴方は』

押し倒してこういえば、トラウマのある坊ちゃんなら私を拒絶すると思った。
拒絶して欲しかったのだ。

なのに。

『…ああ』

トラウマを超える想いを私に向けてくださっている。
その事実を突きつけられた。

(あのときの声も、もしかしたら…)

あの笑い声の様に、悲痛に満ちたものだったかもしれない。

だって、貴方の顔には。
絶望と、悲しみと、哀愁と、諦めが浮かんでいたから。


好きだ、と。
愛している、と。
告げられなかっただけなのに。


「なあ、セバスチャン」





「はい?」







お願いだから、






「もう終わろう」







傍にいて。




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