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ボカロ曲、「魔女」からを聞いて思いついた話です。
普段ボカロ聞かないんですが、これは好きです!
興味がある方は検索かけてみてください。
巡音ルカの曲です。
シエルは駒鳥をイメージしてください。

魔女=シエル
王子=セバスチャン
魔女狩り=グレル


さあ、見てごらん。悲しいお話。さあ、ハンカチの用意忘れずに



ぶわ、と風が吹いた。
その風の所為でカチュームが飛んでいってしまった。


(嗚呼、新しいものを買わないといけないかな…)


カチュームを目で追うと、立派な身形をした青年がカチュームを手にしていた。
礼を言うため、青年に駆け寄る。


「ありがとうございます、拾ってくれて」
「いえ、お気になさらず」


あるところに魔女がいたそうな。ある王子と恋をしたそうな


…僕は、魔女だ。
彼…セバスチャンの身分を聞くと、やはりというか、王子だという。
この地域は他の地域に比べて魔女狩りは盛んではないものの、警戒するに越したことはない。
だから、ここからもさっさと立ち去るつもりでいたのだ。

…でも。


時を止める魔法忘れるくらいの幸せな時は過ぎていく


それから、僕とセバスチャンは度々会った。

側にいられるだけで良かった。
でも、次第にもっともっとと…。


「…シエル」
「何だ?」
「愛してますよ」


囁いてくれる、愛の言葉。


「僕もだ。セバスチャン」


いつかは離れていく。
なのに、離れがたくて、離れたくなくて。
いろいろなものを偽っている僕。

薄く張った氷の上を歩いているような感覚。

崩壊の時は、すぐに訪れた。


「ちょっとアンタ。さっきこいつと一緒にいたわよね?」
「…はい、それが、なにか?」
「アタシは魔女狩り人なの。で、こいつは魔女。狩るべき対象なのよ」


「シエル、貴方は私を騙していたんですね…っ」
「セバスチャン、僕はっ…!」


何も、言えないまま長かった髪をばっさり切られた。


十字架に抱かれ空仰ぐ


「セバスチャン…!『 Penitenziagite! Penitenziagite!(悔い改めよ)』」


観衆が叫ぶ声に、僕の声はかき消される。


…もう、いい。
セバスチャンは……。

この愛さえ魔術と呼ぶのなら。
炎でも何でも放てばいい。


『Penitenziagite! Penitenziagite!(悔い改めよ)』



献身は虚無と化し、美徳は悪徳に変わり、いまや総てが道を外れて狂っている


愛して、愛された。
偽ったことが、出会ったことが罪だというのなら。


「かの罪なる魔術に審判を!この聖なる炎を放つがいい!」


赤い髪の魔術狩り人が叫ぶ。


目から、何かが零れ落ちた。
涙ではないことは、僕が一番よくわかっている。
…血だ。

魔女は、涙を流せない。
代わりに、命を削って目から血を流すのだ。
赤い、紅い、血を。


「この血の涙の理由を忘れるな!」


十字架にかけられても、魔術は使える。
僕は、姿を変えて飛び去った。


「…シエル!」


…もう、何も聞こえない。
もう、僕が愛し愛された人は、どこにもいないのだ。


「さよ、なら」


かく空しき人の愚かしさ。
愛は、なんて儚いのだろう。

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